2004-01-01から1年間の記事一覧

だから「諦めないこと」。

▼今年最後!と決意して地元の書店へ。近所ではどういう本が平積みになっているのかを知るのは、自分の読書の偏りを調整するためにも欠かせない。今年購入した本のうちで地元の書店にも置かれているのは、いわゆる「ニート」系の若年労働問題関係が多い。もは…

「TVKっ子」の帰結。

気分が乗らない時はミュージッククリップを観る。ここ最近は木村カエラの「happiness!」。なんというか、青春汁溢れるミュージッククリップの雰囲気にどこか惹かれる。魚眼レンズを使ったバス内の撮影による遠近感覚や、みんなが立ち踊っているところは「絵…

知の大三角形

冬の大三角形といえば、ペテルギウス(オリオン座)・シリウス(おおいぬ座)・プロキオン(こいぬ座)のことであるが、「知の大三角形」と揶揄されるのは岩波書店・朝日新聞・東京大学である。それぞれに面白さと難しさはあるとした上で、いわゆる「知識人…

「特集:デザインの発想」『d/sign』no.9、太田出版、2004年

岡本一宣「「その場」が生み出す現在形のデザイン」 インタビューというよりは戸田ツトムとの対談に近い。デザインが面白くて不思議なのは、「そっちではなくてこっちでなければならない」という「選択」の問題に常に向き合っていること。「これはここでいい…

火傷。

昨日の歌詞は「さだまさし」であると教えてもらいました(kazaruさん、ありがとう)。いわゆる「イカ天」バンドブームに育った身としては、「さだまさし」を完全にスルーしてきているので、思いもしなかった。引用の本意は彼の歌詞から読みとれる「ロック」…

『独立独歩』PIE BOOKS、2004年

デザイナーという職業人にとって「独立」は学生の時からチラホラする言葉である。とりあえず「修行のために就職、10年位で独立」なんて話は少なくない。「TUG BOAT」や「風とロック」、「サムライ」等は目立っている例だが、広告代理店のクリエイティブ部門…

古本の書き込み

ここのところは体調がよくない。最悪なことに腰痛もでてきた。連日何時間も同じ姿勢でじっとしているのは、どう考えても身体に良くない。執筆中にジム通いやジョギングを薦めてくれた先輩や仲間は少なくないし、「適度の運動は絶対必要」のアドバイスは、取…

写真の受けとめかた

「写真が国際語であるといわれながら、かならずしも国際語として通用しないのは、写真を読む側に共通の経験がないためなのです」といったのは名取洋之助だった(『写真の読み方』岩波新書、1963年)。写真が文字では表現しきれないコトを映し出してしまう可…

デザインの季節か?

こういう呼び方もどうかと思うが、どうも「デザインの季節」ではないかと思う。原研哉さんの『デザインのデザイン』(岩波書店、2003年)のサントリー学芸賞受賞はその結果の(契機ではない)一つなのだと思うが、ここのところ一般雑誌での「グラフィック・…

処世術とシニシズム

例えば、支払をすべてクレジットカードや電子マネーで済ましている人がいるとしよう。僕たちはその人のことを、個人情報を積極的に提供し更新し続けているという意味で「あの人は自分の足跡がデータ化されていることに無神経なのではないか」と思うかもしれ…

『デザインノート:デザインのメイキングマガジン』誠文堂新光社、2004年

特集は「20人のアートディレクター」。先の原研哉さんのお話もある。テキスト、作品、ワークフローをバランスよく紹介しているのが興味深い。単なる作品紹介ではなく、技法の紹介でもなく、インタビューだけでもないという構成の難しさを引き受けようとして…

君も変わった、僕も変わった。

ある飲み会で通信社の学芸部の方とお話した時のこと。僕の関心を明らかにしたところで、「デザイン界の人も最近になってわかりやすいお話をしてくれるようになった。原研哉さんや佐藤卓さんみたいにね…」っておっしゃっていた。こうした話はその方だけに限ら…

便利な言葉は無くならない。

便利な言葉とは、どんな文脈でも恣意的に意味を与えることでなんとかその場をやり過ごせるマジックワードのことである。「感性」や「センス」についてはまだまだ悩み中なのですが、ふと「ロック」もなかなか都合良く使えるなと思った。 「ロック」は格好悪い…

科学は他人事か

金森修さんの「時流自論」(朝日新聞2004年10月24日朝刊)に、「科学は他人事か」との表題で知をめぐる専門家と非専門家の関係の話がある。ある出来事をめぐって専門知が必要とされる場合に、誰がそれをどのように語るのかに敏感にならざるをえないという話…

広告の批評について

広告制作者の戦後史を書いているので、関連する雑誌はそれなりに眼を通している。この手の雑誌の量や売上がピークを迎えるのは1980年代で、広告が読みこまれると同時に広告の裏側や広告制作者が読みこまれる対象になるのはこの頃のこと。『広告批評』が創刊…

監視社会をめぐって

継続してお話を聞ける機会は滅多にないと思い、東浩紀さんのゼミに出ている。かつて村上隆や雑誌『広告』周辺で賑やかだった「スーパーフラット」はもう誰もいわないなーなんて思いつつ。とにかく『動物化するポストモダン:オタクからみた日本社会』(講談…

『SURVIVE STYLE 5+』ブレーン10月号別冊、2004年

ああ、そういえばTUGBOATの多田琢さんが映画を作ったとかなんとかは聞いていた…と思っていたらなんと「別冊」まで出ています。正直なところをいうと、予告編をみたかぎりでは映画の内容にはあんまり関心がないです(小泉今日子演じるCMプランナーがどれだけ…

いわゆる「パンチラ」というやつは…

ここ最近はいわゆる“書く身体”になるまで起きてから5,6時間かかる。その間はウダウダしていてもしょうがないので、自転車に乗ったり、街をぶらついたりする。下北沢くらいが程良い。お昼を食べ、いくつかのショップと古本屋を覗いてから帰宅して「さぁー…

扇田夏美『負け犬エンジニアのつぶやき:女性SE奮闘記』技術評論社、2004年

酒井順子『負け犬の遠吠え』(講談社、2003年)は自ら「負け犬」を宣言することで「勝ち犬」が「負け組」であることを「勝ち組」のキャリアウーマンとして誇るという逆立ちしたものだったが、扇田夏美の場合は「華やかなキャリアウーマン」ではなくエンジニ…

上がったり下がったり

書くことは難しい。書いている自分を見つめ続けるのはもっと難しい。ここまで書いたところを読み返した。何のための言説分析なのか。どこからどこまでが当事者の言葉であるのか。そしてどこからどこまでが私の解釈なのか。他者の言葉を自分の言葉のように扱…

「エンタの神様」2004年9月18日

カンニングが「うんこしてやるっ!」と脱いだ時から毎週見るようになった。波田陽区の「ってゆうじゃない〜」にも慣れてきたし、はなわが唱えば「ああ、今週はここまでか」と思うようになった。それでもこの番組には謎がある。例えば「これは○○という番組だ…

お笑いの数量化に思うこと。

毎日自転車に乗るようにしている。隣町の書店までくらいが丁度いい。郊外の小さな街であるが、近所には私立大学が二つある。にも関わらず、学生のニーズに耐えうる書店がない。『広告批評』が置いてあるくらいで「まぁマシかも」と思っていたところは、ブッ…

「「冬ソナ好き」の自分が好き:サブch」

40代のある女性は、「ヨン様ファンでもなければ、純愛にあこがれたわけでも、筋に引き込まれたわけでもない」。「冬ソナが好きな自分が好きだったのかもしれない」とぼんやり気がついたという。「私の中で冬ソナと似ているのはね、スマップ」という彼女は正…

「新聞の五輪報道考える:朝日新聞紙面審議会 04年度第3回」

佐藤俊樹のいう「サイクル」は、スポーツを楽しむと日常的行為はテレビ中継に始まり、深夜のスポーツニュースを経て、翌朝の新聞にてその結果を再確認するという「楽しみのサイクル」の最後に新聞がくることを強調したかったのではないにも関わらず、長生志…

新聞をどうする?

新聞の切り抜きを始めたのは小学5年生の頃。それから長いブランクを経て、ここ4年位続けている。「いつか引き出せるように」の気持ちなんだが、その保存方法は思考錯誤。最初の2年は朝日新聞と毎日新聞を図書館で読み、複写してから保存した記事だけを切…

自由(フリー)という事

お宝発見。論文モードという言い訳/本当の所はただのお掃除、では(今になって)いろいろと見つかる。 1990年代のDTPブームは単に技術的進歩だけでなく、1980年代に用意された「クリエイティブ」へのイメージ(眼差す対象)やリテラシー(読み書き能力)の…

Raw material

先日に路上で偶然再会した友人は、現在の僕の問題関心を導いてくれた友人のひとりである(感謝)。その彼、九龍君が「Raw material」というレコードレーベルを主宰しているので紹介しておこう。ブレイクブーツやダウンビートは、大手レコード屋の隅っこにあ…

「あの日」はテレビが壊れていた

3年前の「あの日」にはテレビが壊れていた。だから「あの時間」にはラジオを聴いていた。「Yo、みんな、なんかニューヨークがとんでもないことになっているみたいだぜ」とHIPHOP的なしゃべりを流していたJ-waveが「例の瞬間」を教えてくれたのだ。 なにがな…

生明俊雄『ポピュラー音楽は誰が作るのか:音楽産業の政治学』頸草書房、2004年

作品が商品となることに孕む政治性。作品化するのが人間であると同じように商品化するのも人間である。作り手と送り手の間の葛藤を捉えた本書には、あるメディアのメディア性を浮き彫りにしたり、テクストとしてのメディア研究ではなかなかみえてこないメデ…

広告制作者とは誰のことか

ひさしぶりに「銀ブラ」。松屋銀座8階大催場の『時代のアイコン―日本のグラフィックデザイン50年』をちらり。週末の銀座とはいえ、会場はかなりの混雑模様。「そうそう、昔のテレビはこんな感じだったのよね」などと周りから聞こえてきたところから判断す…