2006-01-01から1年間の記事一覧

資料の政治学/物語の政治学

一週間程、京都・立命館大学にて調査(1920年代後半から1940年代後半までの日記、原稿の草稿、残された蔵書などの閲覧・複写)しておりました。天候に恵まれ、紅葉は始まり、学園祭を控えたキャンパスはとても賑やかで、充実した時間となりました。またコー…

アメリカの失敗

裁判官が読み上げる判決に対して、「アラーは偉大なり」と連呼する姿(報道ステーションはこのようにテロップを入れていた)。裁かれるべき者が裁く者の不正義を見抜いてしまっている奇妙さ。アメリカの失敗は、アメリカの成功を担保するために捕らえられた…

歴史を研究できてしまえること。

2006年10月13日にソウル大学校社会科学大学言論情報学科で行われたシンポジウム「ニューメディア時代の個人、社会、国家と文化」に参加。「職業としてのメディア、クリエイターのアイデンティティ」と題して報告し、ソウル大の討論者には問題意識を理解して…

古本の修復、消えたしおり紐

近所の古本屋が岩波新書の赤版(1938-1946)を複数入荷していたので、西田幾多郎『日本文化の問題』(岩波新書、1940年)を80円(!)で購入。新書としての通し番号は60、発行は1940年3月だが、印刷は1942年9月(5刷で10000部)、配給元は日本出版配給株式会…

*[critique]デザイン批判の困難

ネットに詳しい人が編集部に少ないということで話題になってしまった「オーマイニュース!」。そのアクセスランキングの上位に、岩月美知枝という市民記者による「明治学院大の新ロゴに潜む意味 「有名デザイナー」の作品とは何なのか」(http://www.ohmynew…

*[critique]ネット世論とメタデータ

「世論」すら怪しいのに、「ネット世論」なんて本当にあるのかな。ブログ空間におけるメタデータの相互交換の量的な多さを見ると、そう思わずにはいられない。ベタな書き込みをする人よりも、それらをメタに収集してまとめている人のほうが、情報=ネタとし…

杉山登志の死について

「メッセージ〜伝説のCMディレクター・杉山登志〜」(TBS、2006年8月28日)を見ました。杉山登志については、馬場敬一・石岡瑛子編『CMにチャンネルをあわせた日』(PARCO出版、1978年)、今井和也『テレビCMの青春時代』(中公新書、1995年)、山田奨治「CM…

朝日新聞「テークオフ」にて。

「テークオフ」(朝日新聞、2006年8月24日夕刊)にて紹介して頂くことになりました。『graphic/design』(左右社)での連載「デザイナーと素養」に関わる問題意識やこれまでの経緯などです。メディア・リテラシーのワークショップで、送り手と受け手の立場を…

*[critique]責任と自由、進化と歴史

web2.0関連の記事や書籍では、「グーグルでヒットしなければ世の中に存在しないのと同じだ」とか「多くのページで紹介されるページはよいページ」という主張がよく見られる。こうした「集団の知恵」的主張にはそれなりのリアリティがある。またある種の市場…

テレビ、買いました。

ブラウン管21型から薄型20型のテレビへ。地上波デジタル、BSデジタル、この勢いでスカパー!110にも入会か。早速16日間の無料体験サービスに申込み、どっぷり楽しむ。急激に視聴可能なチャンネルが増えたので、なんというか、メガネやコンタクトを新調した…

メディアの死骸たち

九州より帰京。主な滞在地は熊本。水俣までの電車が豪雨の影響で不通だったので、予定を変更して三角(みすみ)という港町へ向かい、さらに航路で長崎・島原へ。 雲仙岳災害記念館(http://www.udmh.or.jp/)では、火砕流や土石流に呑み込まれたモノの展示が…

連載「デザイナーと素養」、はじめました。

カルチュラル・タイフーン(http://www.cultural-typhoon.org/)での発表は無事に終了。討議の時間が少なかったにもかかわらず、司会の岩崎稔さんからは今回発表しなかった点を見通した的確なコメントを頂いた。これは「あなたの発表には●●の視点が抜けてい…

負ける日本の「ナショナリズム」

カルチュラル・タイフーンで発表することもあり、ここのところは「日本文化論」関連を集中的に読んでいます。ワールドカップなどでも思うのですが、日本のナショナリズムは「捻れて」いることが問題なのではなくて、それだからこそ「活き活き」しているよう…

メディア論は何のために?

マスコミ学会での発表は無事に終了、みなさん本当にお世話になりました。発表の20分間はマシンガントークなのでどうなるかと思ったが、問題意識を丁寧に説明し、結果的にはそれがうまくいった。マスコミ論≒メディア研究の歴史学派(?)では、1990年代のカル…

*[critique]ワークショップの帰結

昨年と同じく、毎週月曜日は東京学芸大学へ。情報教育を専攻する学生を対象にメディア論の講座を先輩と一緒に担当しています。前半は講義が中心で、後半はワークショップ。受講者が70名以上なので、班分けをしても10グループ以上になる。これは大変だ…。只今…

関西大学で発表。

書類作成最終日。さすがに今夜の宴会はスルーさせていただきました。明夜には旨い酒を頂きたい。 6月中旬に関西大学で行われる日本マスコミュニケーション学会で発表します。基本的には修士論文の全体像で、映画・広告・写真・漫画の発表が一つになったセッ…

下北沢で発表。

書類作成に苦悩する日々。酒の機会が増えた。そして、飲んだ勢いで文章を書くようになった。少々の量であれば、集中力をあげてくれる(短時間に限るが)。お気に入りは、ジントニック。 6月末から7月初めに下北沢界隈で行われるカルチュラル・タイフーンht…

*[critique]アマルティア・センに学ぶ

アナン国連事務総長の名誉博士号を記念した講演会が開かれる。昨年は金大中元韓国大統領(名誉博士号とは関係のない講演会)だったが、ノーベル平和賞受賞者の講演は滅多に聞くことができないので、こういう機会は逃さないようにしている。東京大学の「名誉…

「学際」の生命力

ご無沙汰です。3月に無事に修士号(学際情報学)を頂き、4月から博士課程へ進学しました。今後は論文投稿や学会発表をしつつ、博士論文の執筆を進め、お仕事を探していきます。とりあえずの専門はメディア論、日本広告史、歴史社会学。「学際情報学」では、…

執筆を終えて、雑感。

無事に口頭試問を終了。修士論文としての『<広告制作者>の歴史社会学:20世紀日本の商業デザイン思想と感性・センス』はここで一旦区切り、今後は『<広告制作者>の歴史社会学 II』として研究を進めていくことに(笑)。みなさま、今後ともよろしくどうか…

修士論文

こちらは修士論文(2006年)のエントリです。単行本化した博士論文『〈広告制作者〉の歴史社会学:近代日本における個人と組織をめぐる揺らぎ』(せりか書房、2014年)については、以下のリンク先をご参照下さい。http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/20140305 無…