「学際」の生命力

 ご無沙汰です。3月に無事に修士号(学際情報学)を頂き、4月から博士課程へ進学しました。今後は論文投稿や学会発表をしつつ、博士論文の執筆を進め、お仕事を探していきます。とりあえずの専門はメディア論、日本広告史、歴史社会学。「学際情報学」では、説明にならなそうなので…。

 とはいえ、「学際」は重要だと考えている。医学や法学など制度化された学問領域にいる人間にとって、「学際」はインチキ臭いかもしれない。しかし、「学際」という場を設定することなくして、学問的に記述することが難しい対象もある。既存の学問領域における方法論的な厳密さからこぼれ落ちてしまうようなコトを、「学際」という場はいくつもの限界を抱えながらも捉えていこうとする野蛮さを持っている。
 
 その意味で、「学際」は「それは学問の主題ではない」と禁止することはない。また、この定義不可能性くらいでしか、「学際」は定義できない。「学際」は、それを語り尽くせないという自覚において生命力を持っている。「越境する知」(見田宗介)としての社会学が、「社会」を語り尽くせないという自覚において「社会」を記述していくように。

社会学入門―人間と社会の未来 (岩波新書)

社会学入門―人間と社会の未来 (岩波新書)


 ひさしぶりに装丁をした。今回は、著者・編集者・デザイナーの仕上がりイメージがそれぞれに異なり、それらをねばり強く調整しながら作り上げていくという作業となった。ポスターやパンフレットとは異なり、ブックカバーは本棚に置かれる時の相対的な関係性(横にどんな本が置かれるのかなど)が重要で、これについてはデザイナーよりも編集者のほうが実践的な勘を持っている。個人的には、質感のあるクラフト系の紙で2色カラーと考えていたが、最終的にはマット紙に水色をのせて4色カラーとなった。仕上がりに不満はないが、改めて学ぶことが多い制作となった。テレビ番組を分析対象としたこの本、シラバス作成にも参考になる目次となっております…。

ギフト、再配達―テレビ・テクスト分析入門

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