2018年:回顧と展望

 『オリンピック・デザイン・マーケティング』(河出書房新社)から一年。書評や著者インタビューが出て(日本経済新聞毎日新聞図書新聞、東京人)、全国学図書館協議会選定図書にも選ばれ、2018年は恵まれた年だった。
 関連イベントでは、河尻亨一さんと佐野研二郎さんへの評価を共有することができた。永田晶子さんとのイベントは日本デザイン振興会から声を掛けて頂いたもので、JAGDA(日本グラフィックデザイナー協会)でも告知され、トップページのバナー画像(東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会エンブレム第1回設計競技について)が削除されるなど、ある種の応答を感じられる年でもあった。

・【対談】加島卓+河尻亨一「2020年の東京とデザイン」(2018年1月17日、二子玉川蔦屋家電)、https://note.mu/oxyfunk/n/n90ec9d607108
・【対談】加島卓+永田晶子「『オリンピック・デザイン・マーケティング エンブレム問題からオープンデザインヘ』発刊記念トーク」日本デザイン振興会(2018年3月21日、東京ミッドタウン)、https://www.jidp.or.jp/ja/2018/04/10/odm_report?query=tagNames%3DREPORT%26categoryCodes%3Dtokyodesign2020
・【報告】加島卓「エンブレム問題から考える社会とデザイン」東京大学・社会を指向する芸術のためのアートマネジメント育成事業(AMSEA、2018年6月18日(月)、東京大学)、https://amseaut.blogspot.com/2018/06/amsea2018b1-12.html

 『現代文化への社会学』(北樹出版)もようやく刊行。大学生よりも専門学校生が輝いて見えた1990年代をどう書くのかはまだ悩んでいる。これは学部生向けの教科書なので90年代論ではなく、90年代に若者だった親世代とその子ども達の関係を踏まえた友達親子時代の文化社会学にしたつもり。
 「外食:セルフサービスの空間と時間」は、本務校の学生に町田のせこい居酒屋に連れて行ってもらったのが執筆のきっかけ。飲み放題+食べ放題なのにお皿やグラスの交換ルールがすごく厳しく、ちっとも落ち着かなかった。「書店:邪道書店の平成史」は、2015年にやっていた町田×本屋×大学がきっかけ。ブックカフェで働きたい人は増えても、本棚を作れる書店員が増えるわけではないのが難しいところ。
 『メディア社会論』(有斐閣ストゥディア)もやっと刊行。ウェブ広告の動向を追いかけるのは本当に大変なのだが、2014年頃に導入されたアドテクノロジー(リアルタイムオークションなどの広告配信技術)は画期的だったと思う。その業界で活躍している卒業生に原稿を読んでもらったりした思い出の原稿。

・「書店:邪道書店の平成史」+「外食:セルフサービスの時間と空間」、高野光平+加島卓+飯田豊(編著)『現代文化への社会学:90年代と「いま」を比較する』北樹出版、2018年、https://www.amazon.co.jp/dp/477930587X/
・「ネット広告の功罪:監視社会と消費行動への自由」、『メディア社会論』有斐閣、2018年、https://www.amazon.co.jp/dp/4641150559/

 学術誌関係は三つ。

・「広告研究の方法としてのオーラル・ヒストリー―広告史を中心に―」『メディア史研究』(第43号)メディア史研究会、2018年3月、pp.36-52、http://www.yumani.co.jp/np/isbn/9784843353356
・「書評:「被害者」の資料をいかに扱うか」『戦争社会学研究』(第2巻)戦争社会学研究会、2018年、https://www.mizukishorin.com/02-4-2
・「メディア史とメディアの歴史社会学」『マス・コミュニケーション研究』(第93号)日本マス・コミュニケーション学会、2018年7月、pp.61-74、https://www.jstage.jst.go.jp/article/mscom/93/0/93_61/_pdf/-char/ja

 報告関係は二つだが、今年はラジオの仕事もあった。

・「『スポーツ雑誌のメディア史』を読む」京都大学大学院教育学研究科ミニ・シンポジウム「スポーツ・メディア研究のデザインをめぐって」(2018年1月21日、京都大学教育学部第一会議室)、https://www.educ.kyoto-u.ac.jp/archives/5930
・「〈西から〉広告の歴史を考える:萬年社(大阪)を中心に」日本マスコミュニケーション学会第36期第5回研究会(メディア文化研究部会、2018年3月16日(金)関西学院大学大阪梅田キャンパス)、http://www.jmscom.org/event/meeting/36/36_05.pdf
・【ラジオ出演】加島卓「そのコトにプレミアム料金を払いますか? 〜課金化する社会」『文化系トークラジオLife』(2018年8月26日、TBSラジオ)、https://www.tbsradio.jp/290876

教育関係だと、本郷で講義の機会を頂いた。

・2018年度秋学期 東京大学文学部「社会学特殊講義IX(デザインの社会学)」

 本務校はいよいよ10年目。仕事も白髪も増えてきた(涙)。1月14日(月・祝)には、湘南蔦屋書店で『現代文化への社会学』へのトークイベントがあります(http://real.tsite.jp/shonan/event/2018/12/-1990.html)。来年は東大での講義ノートをまとめ、『デザイン史の名著』(仮)を書くのが目標。

 今年もお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いします。