2015年:回顧と展望

 30代最後の一年は本当にいろいろあったのだが、アート関係、書店イベント関係、エンブレム問題関係、研究関係の四つにまとめられるかな。

・「アート×キャリア×ネットワーキング Vol.3」、KoSAC(2015年1月22日、東京経済大学)、http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/20150122
・「卒論修論フォーラム Vol.2」、KoSAC(2015年3月21日、東京経済大学)、http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/20150321
・「『発表会文化論』の発表会」、KoSAC(2015年5月24日、東京藝術大学)、http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/20150426
・「日本におけるソーシャリー・エンゲイジド・アートの行方」、KoSAC(2015年7月13日、東京経済大学)、http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/20150713

 アート関係だと、光岡寿郎さん(東京経済大学)と一緒に運営しているKoSAC(Kokubunji Society for Arts and Culture)は年度の前半に集中し、2015年6月に「社会の芸術フォーラム」(http://skngj.blogspot.jp/p/skngj.html)が動き出してからはそちらで話を聞きに行く側になった。卒論修論フォーラムで報告した教え子がゲームプランナーとして活躍を始めるなど、嬉しい展開もあった。尾道で開催したいという話もあり、卒論修論フォーラムを含めて来年も継続していきたい。

・「時間消費型の新刊書店」、町田×本屋×大学(2015年5月22日、solid & liquid MACHIDA)、http://machidahonyadaigaku.hatenablog.com/entry/2015/04/29/235748
・「小規模の個性派書店」、町田×本屋×大学(2015年6月20日、solid & liquid MACHIDA)、http://machidahonyadaigaku.hatenablog.com/entry/2015/05/24/131118
・「書店ファンの都市論」、町田×本屋×大学(2015年7月24日、solid & liquid MACHIDA)、http://machidahonyadaigaku.hatenablog.com/entry/2015/06/28/183824
・「本の売り方を楽しむ:出版の面白さ、書棚の見せ方、書評の楽しみ方」、町田×本屋×大学(2015年11月25日、solid & liquid MACHIDA)、http://machidahonyadaigaku.hatenablog.com/entry/2015/11/09/195349

 新しい展開としては、「町田×本屋×大学」という書店イベントを始めたことである。柳原伸洋さん(東海大学)と清原悠さん(東京大学大学院生)と一緒に運営している。商業空間を調査するなかで、他でもなく「ブックカフェ」が楽しそうに見えてきたので始めたものだが、書店や出版関係者のお知り合いも増え、本当に多くのことを勉強させてもらった。本務校の学生にも手伝ってもらったり、ゼミでの報告をさせてもらったりもした。
 町田×本屋×大学は企画持ち込みの手弁当で始めたのだが、「solid & liquid MACHIDA」側のご理解もあり、お店側にはイベント担当者のポストが用意された。また、海老名ららぽーとに「BOWL」というブックカフェが出来た時には、イベントに特化した空間が設置されるようにもなった。大きな声で「社会連携」と言わなくても、やれることはある。

・【ラジオ出演】「東京五輪エンブレム問題。その本質を考える?」『Session-22』(2015年8月18日、TBSラジオ)、http://www.tbsradio.jp/ss954/2015/08/20150818-1.html
・【記事内コメント】「「酷似」ネット次々追跡」『朝日新聞』(2015年9月2日朝刊)、http://www.asahi.com/articles/DA3S11943116.html
・【記事内コメント】「Net critics central to Olympics logo scandal」『The Japan Times』(2015年9月3日)、http://www.japantimes.co.jp/news/2015/09/02/national/olympics-logo-scandal-highlights-power-of-the-internet-critic/#.Ver5WM4fNjc
・【テレビ出演】「東京五輪エンブレム“白紙撤回”の衝撃」『クローズアップ現代』(2015年9月3日、NHK)、http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3700.html
・【寄稿】「市民参加への道を探ろう」『毎日新聞』(2015年9月4日朝刊)、http://mainichi.jp/shimen/news/20150904ddm004070017000c.html
・【記事内コメント】「現代デザイン考:五輪エンブレム問題/1 亀倉雄策の“呪縛”」『毎日新聞』(2015年10月27日夕刊)、http://mainichi.jp/shimen/news/20151027dde018040061000c.html
・【対談】河尻亨一+加島卓「五輪エンブレム問題、根底には「異なるオリンピック観の衝突」があった:あの騒動は何だったのか?」『現代ビジネス』(2015年12月28日)、http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47099
・【対談】河尻亨一+加島卓「「五輪エンブレム調査報告書」専門家たちはこう読んだ?出来レースではなかった…その結論、信じていいのか?」『現代ビジネス』(2015年12月29日)、http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47141
・【対談】河尻亨一+加島卓「デザイナーをアーティストに変えた広告業界の罪?日本のデザインはこれからどうなる?:五輪エンブレム騒動から考える」(2015年12月30日)、http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47191

 今年の後半は、エンブレム問題への対応に追われた。このブログで見解を公開し始めた結果、コメント欄を閉じる展開になった一方で(笑)、ラジオ、テレビ、新聞で見解を述べる機会を経た。炎上案件だったので、ラジオやテレビはとても緊張したというか、向いていないこともよくわかった(笑)。
 実は9月にいろいろあったのだが、あの時点でやれることは十分にやったと思う。またこの件では本当にいろいろな方との出会いがあり、様々な意見に耳を澄ます機会を得たので、来年はこの半年で考えたことを本にまとめようと思う。エンブレム問題への関心は急速に冷却したように見えるが、そのことも含めて記録に残すことが私にできる仕事である。

・「美人画とポスターの概念分析」『大正イマジュリィ』(第10号)大正イマジュリィ学会、2015年3月、pp.15-35. http://taisho-imagery.org/g.shtml
・「〈広告制作者〉の歴史社会学──近代日本における個人と組織をめぐる揺らぎ』を書くまでとこれから」、第88回日本社会学会大会(2015年9月19日、早稲田大学) ※日本社会学会第14回奨励賞(著書の部)受賞記念講演

 研究関連では、「〈広告制作者〉の歴史社会学:近代日本における個人と組織をめぐる揺らぎ』(せりか書房、2014年)が日本社会学会第14回奨励賞(著書の部)を受賞したことが本当に嬉しかった。どなたかに書評を書いてもらえるとありがたいなと思ってエントリーしたのだが、まさかの受賞でとても驚いたのを覚えている(関係者のみなさま、本当にありがとうございました)。出版社在庫もごく僅かになったようなので、「神風」が吹いたとしか思えない一年だった。
 これ以外に二つの論文を入稿しているのだが、公刊は来年になる。一つは「80年代」に関する論集で、「誰もが広告を語る社会:天野祐吉と初期『広告批評』の居場所」というもの。もう一つはメディア論の教科書で、「広告の個人化:監視社会と消費行動への自由」というもの。前者はもうすぐだけど、後者はいつになるのかしら(笑)。あとは「90年代」に関する現代社会論系教科書の執筆を進めなければならない。
 博論本関係は一段落したので、来年はエンブレム問題の本を書き進めながら、新しい研究テーマを出していきたい。昨年に続き、今年もめっちゃ悔しい思いをした案件もあったのだが、まぁこういう振れ幅に慣れていくしかないのかな。それから来年は非常勤先を調整して、都心の大学でも講義するので、帰り道が楽しみでもある。
 今年もお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いします。