2008-01-01から1年間の記事一覧

デザイナーを書き取る可能性

今更だが、デザインそのものではなく、デザイナー語りこそ、私の好みである。なかでも「この作品の本当の意図は…」といった作品語りではなく、「心から好きなことを話せる友達はいなかった。でも今はこの仕事で…」といった自己承認語りが、お気に入りである…

「武道館に行きたくないのか」?

「武道館に行きたくないのか」。2008年秋からのNHK連続テレビ小説「だんだん」では、芸能事務所のマネージャーが、このようにして島根・松江の少年少女を誘惑する。なんともいやらしい役なのだが、ふと「この殺し文句はまだ有効なのか?」と思う。バンドにと…

デザインのコトバ、評価のコトバ

授業評価調査の結果。担当科目は、文学部芸術学科の視聴覚教育メディア論。学芸員資格科目の一つで、メディア論的な考え方とワークショップのデザインができるようになることが授業の目的。諸事情を鑑み、簡単に公開。 調査平均点を上回ったのは、(1)出席…

放送の固有性とは何か

公開授業を兼ねた『テレビ放送実習』の本番収録を行った。埼玉県立芸術総合高校の映像芸術科では、県内の放送局スタッフと連携して、生番組形式のスタジオワークを行ってきている。簡単に言えば、高校生による番組企画で、映像の制作や編集、スタジオでの撮…

ワークショップの擁護

ワークショップ開催のため、二泊三日で長野県・安曇野へ。武蔵野美術大学芸術文化学科は、2002年より長野県安曇野ちひろ美術館や松川村役場と連携して、地域の理解と創作活動を組み合わせた実践を行ってきている。簡単に言えば、美大生が企画する市民参加型…

渋谷は、全体的に特徴がない。

ワークショップのデザインを、講義の後半で行った。「都市空間とメディア・リテラシー」という設定で、各チームは、まず任意の都市空間に対して事前に持っているイメージを出し合い、次にメディアでいかに表象されているのかを調べ、実際に街へ足を運び、イ…

あぁ、俺はVJだったのか。

講義へのコメントの中に「今日のビデオの選択は…」とあって、「あぁ、俺はVJだったのか」と知る。笑いがとれない芸人の見習いだが、「映像や、パワーポイントがあって、楽しいです!」という優しい声を、そのまま受け止めてあげられるようになりたい。 6月…

美大生なのに、絵が描けないかもしれない不安

ご無沙汰しております。あっという間に、博士課程も三年目。レオパレス21のような福武ホール(http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/)を見る度に、「入るのが簡単になった分だけ、消え去るのも簡単になったな…」と思うこの頃。やるべきことを、始めることにし…

続・デザイン批判の困難

デザインに「コンセプト」は、本当に必要なのか。そのコンセプトは、あるデザインに対して、どれほど固有の関係を持ち得ているのか。むしろデザインにおけるコンセプトなど、状況に応じてどのようにでも語れてしまう、不安定で都合の良いコトバなのではない…

30代の緩い連帯

20代に慣れ始めた頃、サブカルチャーを語る30代は、「まだまだ私も…」と主張しているようで、「そんなに無理しなくても…」と思っていた。今となってみれば、自分がそのように思われるのだろう。私の20代は、東京国際マラソン(2005年)で優勝した高橋尚子の…

「モデル、やっています」?

「モデル、やっています」と言われて、返事に困ったことがある。「すごいねー」とも言えないし、かといって「ふーん」と聞き流すのも悪いかなと思ったからだ。かといって、それを認めないというのではない。 しかしモデルを「自己表現」であるかのように語ら…

生存戦略としての章立て

自分の出来はともかく、人の論文に対してコメントする機会が増えた。昨年もそうだったが、1月や2月は論文提出の時期なので、奇妙なまでに啓蒙的になる。今年は学部卒業論文の発表を各所で聞いたので、以下のような「理想論」を、今のうちにぶちまけておき…