2007-01-01から1年間の記事一覧

なぜ「強くあれ」か?

「強くあれ」。このようにしか、声をかけられない時は少なくない。勿論これもまた、一つの押しつけである。しかし人の話に耳を済ませば済ますほど、簡単に「弱くあれ」とは言えない。その弱さの肯定が、なにかしらの支配関係や現状維持を補強してしまうのな…

急行の身体/各駅の身体

工場やダムに「萌える」写真集が話題のようだが、私の好みは「鉄塔」である。といっても、それぞれを「ドラキュラ鉄塔」や「ジャミラ鉄塔」と分類する程ではなく、なんとなく空を一緒に眺めるのが好きな程度だ。だから本当は「ゴルフセンターの鉄柵」でも、…

一段ズラしの啓蒙。

「●●を使って、分析する」という言い方が、あまり好きではない。ある分析概念を「なんでそこまで信じられるのだろう」と思ったり、ひどい場合には「私も●●学派ですので、どうぞよろしく」的な言明にしか聞こえないからだ。勿論「方法論の無視」は問題だが、…

メディア論を女子に講義する困難?

【1】「メディア論を女子高生に講義すること」に困難を感じていたら、「メディア論を女子大生に講義すること」に困難を感じていた方々に会った。メディア論のトピックは、どうしようもなく男子臭が強く、自分が面白いと思えば思うほど、女子には伝わらない…

もっとカボチャをリスペクト

新秋津から秋津までの間に、美味しそうな洋菓子屋がある。今日覗いたら、店員みんなでトンガリ帽子をかぶってた。毎年この時期に思うのだが、私はハロウィーンの迎え方がまったく分からない。クリスマスのようにも徹底されない中途半端さが、どうにも心地悪…

二つの「一人前」。

「役ではなく、一人の表現者として…」。この差異に敏感になってしまった沢尻エリカ(数日前まで「沼尻エリカ」だと思ってた…)は、これまでの言行は別に、可愛そうである。「自分」でありながら、「自分」ではない。しかし「自分である」と、言わないわけに…

どこまでも同じ風景を。

映画『NANA』やドラマ『東京タワー』には、私が住む街が登場する。その設定はどちらも似ていて、要するに地方から上京した夢追いキャラが、家賃の安さを優先して、とりあえず最初に住み着く街だということ。住まいはギリギリ東京都で、目の前には多摩川が流…

二つの「生きさせろ!」

リラックスしたい時には、ギターをぶら下げる。ストラップが肩にかかる感覚は、不思議と落ち着くもので、大して指が動かないにもかかわらず、ブラブラと部屋のなかを歩き廻る。妄想体操みたいなものである。 さて「生きさせろ!」と主張するのは、雨宮処凛だ…

理由なき可視化は「無視」される

ここ半年位はライブツアーをしながら新曲を作るミュージシャンのような生活だったので、この夏休みはスタジオミュージシャンのような生活にしたい…。 「Ubiquitous Media: Asian Transformations」では、英語原稿を念仏のように読み上げて終了(ちーん)。昨…

メディア・リテラシーの行方

セール初日を初体験。開店前の行列&ダッシュで、狙った獲物を即購入。何やってんだ…と反省する間もなく、30分で帰宅。スガシカオの新曲「フォノスコープ」は、やっぱり買わないことにした。 さて熊本学園大学でのマス・コミュニケーション学会での収穫は三…

データベースか、物語か。

どうしようもできない…、でもジッとしてもいられない。世の中からバンドがなくならないのは、こうしたことが少なくないからだ…。そんな気分の先週末から、少しだけ回復しました。 「デザインを語ることは不可能なのか」(@神戸芸術工科大学)への反応は、と…

括弧の美学

ご無沙汰です。毎年この時期は忙しく、雑文を書く余裕がなかなかみつからない。効率を上げるため、23時に就寝、5時起床の毎日に。 原稿を書く機会は増えたのに、なかなか括弧の数を減らせない。強調というよりも、引用であることを示し、そして反論の余地…

政治的無関心の徹底

左翼が「保守論壇のおもしろさに勝つことのできない」のは、「政治的言説のゲームのルールが決定的に変わってしまった」からだという(毛利嘉孝「ストリートが左翼を取り返す」『論座』4月号、朝日新聞社)。確かに『諸君!』(4月号、文藝春秋)を立ち読み…

大学・大学院には何ができないのか

教育には何ができないのかを明らかにするように、大学・大学院には何ができないのかを明らかにすることも重要である。とりわけ論文を書く立場の者にとって、「問題」をどう設定するのかは、論文の評価そのものに関わってくる。しかしその「問題」の設定こそ…

*[critique]情報技術批判の困難とメディア・リテラシーの危機

「報道ステーション」の後に「ワールドビジネスサテライト」を見ると、本当に同じ一日のことを扱っているのだろうかと思うことは少なくない。何事にも「ビジネス」との連関を忘れない後者にとって、前者はコンテクストにすぎないのだろう。技術革新とその評…

*[critique]思想のウィキペディア化

対談集は麻薬である。とにかくこれを読んでしまうと、いろんなことが理解できた気分になってしまうので、恐ろしい。その理由は、おそらく口語体にある。口語体で語られる難しいことは、それなりの理解を与えてくれる。そしてこれは文章にして考え直す必要を…

*[critique]「空間/作品」を区別するデザイナー

▼デザイナーが作品を語ることの困難 言うまでもなく、デザイナーにとって「作品集」とは〈何を制作してきたのか〉の記録である。ポスター・コマーシャル・パッケージなどがページ毎にカラフルに配置され、その制作をめぐる裏話が解説的に挿入される。ここで…