括弧の美学

 ご無沙汰です。毎年この時期は忙しく、雑文を書く余裕がなかなかみつからない。効率を上げるため、23時に就寝、5時起床の毎日に。
 
 原稿を書く機会は増えたのに、なかなか括弧の数を減らせない。強調というよりも、引用であることを示し、そして反論の余地を考えてのことだが、要するに括弧の多様は読みにくいし、その過剰は単に胡散臭い。
 
 括弧の美学は、書き手にしかわからない(読み手にはウザい)。思いきって止めてみれば、自分ですらどこに括弧を使っていたのかを忘れてしまう。それ位いい加減なものなのに、なかなか止められない。
 
 括弧の多用は、若さの指標なのだと聞いた。「私は、みなさまと同じくマナーを踏まえていますよ」的な儀礼的態度も、度が過ぎると「そういう倫理の自己顕示は、もういいんだよ…」ということ。足し算を覚えた分だけ、引き算もできなくてはならないのだ。


・5月23日(水)に神戸芸術工科大学http://www.kobe-du.ac.jp/visual/curriculum.htm)で特別講義(90分間×2)をします。「デザインを語ることは不可能なのか?」と題し、音楽を語ることの不可能性→デザインを語ることの不可能性→デザインが語られ始めた時→デザインは語られないと語られ始めた時→デザインを語ることは不可能なのか?、といった流れを考えており、要するに歴史を“前史”と矮小化するのはやめようという話をしてきます。

・また紀伊国屋書店のウェブ書評空間にて「U-MAT FORUM」(http://booklog.kinokuniya.co.jp/umatforum/)という企画を始めました。2007年7月に行われる国際会議のスピーカーに関する文献を紹介していきます。私はスタフォードの書評を予定していますが、この原稿はかなり遅れてます(関係者のみなさん、すみません)。
 
・それから年度末に関わった本が出版されています。個人的にはピカピカしない質感を望んでいたのですが、保存を考えると…との総合的な判断です。フィールドワークの教科書としてどうぞ。