2017年:回顧と展望

 本務校も八年目。すっかり中年の顔になりましたが(涙)、今年は何よりもエンブレム本を刊行できたのが嬉しかったです。脱稿したのは三月中旬で、四月から六月に下読みと加筆修正を行い、八月から一〇月はゲラの校正、そして一一月と一二月に販促イベント。エンブレム本に関する研究報告もいくつか行い、ありがたいコメントを沢山頂きました。三月の脱稿した夜に新宿のとんかつ屋『三太』へ駆け込み、帰りに南口前の歩道を誰もよりもゆっくり歩いたのは忘れられません。

・『オリンピック・デザイン・マーケティング:エンブレム問題からオープンデザインへ』(河出書房新社、2017年)、https://www.amazon.co.jp/dp/4309248357/、※サポートページ(http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/20171120
・「デザインは社会を変えることができるのか」、幅允孝(監修)『デザイン イズ デッド?』ダイヤモンド社、2017年1月、pp.48-53、https://www.amazon.co.jp/dp/4478068712/
・「エンブレム問題と「出来レースかどうか?」:旧エンブレム選考過程に関する調査報告書とJAGDA文書」、第11回史料データセッション(2017年5月20日学習院女子大学
・「エンブレム問題の社会学:市民参加型社会における専門家の居場所」、第65回関東社会学会大会(2017年6月4日、日本大学文理学部)、http://kantohsociologicalsociety.jp/congress/65/program.html
・「エンブレム問題からオープンデザインへ」、第63回文化社会学研究会(2017年6月10日、早稲田大学
・「オリンピックと都市景観の社会学:マークの不正利用からエンブレムの商業利用へ」第90回日本社会学会大会(2017年11月4日、東京大学
・加島卓+山本貴光「エンブレム問題から考えるデザインの過去と未来」(2017年12月20日、神楽坂・モノガタリ

 エンブレム本以外だと、書評の仕事が多い年でした。厳密に言うと、書評以外の仕事を先送りするしかない状態だったので(すみません…)、来年は挽回に努めます。

・「書評 『映像文化の社会学』」『書斎の窓』(第650号)有斐閣、2017年3月、pp.65-69、http://www.yuhikaku.co.jp/static/shosai_mado/html/1703/11.html
・「地方暮らしの幸福論をめぐって:轡田竜蔵『地方暮らしの幸福と若者』の書評」、2017年度青少年研究会第1回例会(2017年5月13日、日本大学文理学部
・「書評:木下直子著『「慰安婦」問題の言説空間』」2017年度戦争社会学研究会関東例会(2017年12月2日、埼玉大学

 博論本に続きエンブレム本も「歴史社会学」だったため、方法論に関する仕事もありました。メディア史、社会史、歴史社会学、社会構築主義知識社会学、言説分析、概念分析あたりに沢山のヒントを頂いているので、それらをどうまとめるのかが来年以降の課題。

・「広告研究の方法としてのオーラル・ヒストリー:広告史を中心に」、メディア史研究会2017年度研究集会(2017年9月2日、アジア会館)

 教育関係だと、本務校の教え子の結婚式に出たり、武蔵美の教え子の活躍を知れたことが嬉しかったです。本務校は来春に改組を控え、文学部から文化社会学部になります。非常勤先は早稲田大学中央大学、武蔵野美術大学桑沢デザイン研究所でしたが、来年は少しやり方を変えます。今年もいろんなお話がありましたが、この社会は本当に複雑ですね。これからも丁寧に頑張ります。
 一月には、『〈広告制作者〉の歴史社会学』の二刷が出ます。ありがたいことに、エンブレム本関係でイベントがいくつか続きます(1月17日(水)に二子玉川蔦屋家電で河尻亨一さんとトークイベント、1月21日(日)に京都大学で『スポーツ雑誌のメディア史』と『オリンピック・デザイン・マーケティング』の合同セッション、2月10日(土)に双子のライオン堂で読書会)。書評や著者インタビューも予定されており、より多くの方に読んで頂けると大変幸いです。

 今年も大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いします。