修士論文

こちらは修士論文(2006年)のエントリです。単行本化した博士論文『〈広告制作者〉の歴史社会学:近代日本における個人と組織をめぐる揺らぎ』(せりか書房、2014年)については、以下のリンク先をご参照下さい。http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/20140305

 無事に修士論文を提出致しました。何が書けるのかではなく、何が書けないのかを書いていくこと。それは、本当に自分との闘いでした。この人生最大のワガママを見守ってくれたみなさまに感謝感謝です。
 
 論文のタイトルは、「<広告制作者>の歴史社会学:20世紀日本の商業デザイン思想と感性・センス」。簡単に言えば、20世紀日本における<広告制作者>というカテゴリーと<感性・センス>という言説がいかなる関係を取り持ちながら「社会のリアリティ」を構成してきているのかを、メディア論的な主体形成の問題として、歴史学的に調査し、その変遷が何を意味するのかを社会学的に分析したもの。簡単な目次は以下の通りで、分量は40万字強(無駄なところ多すぎ)。

1章:問題意識と理論的背景
2章:「商業美術家」:濱田増治とマルクス主義
3章:「報道技術者」:今泉武治と三木清
4章:「アートディレクター」:今泉武治と中井正一
小括1
5章:「グラフィック・デザイナー(1)」:亀倉雄策と世界デザイン会議
6章:「グラフィック・デザイナー(2)」:横尾忠則大阪万博
小括2
7章:結論

 要するに、<広告制作者>にとっての<感性・センス>とは、資本の論理によって曖昧にされていく「主体」が、それでも「主体」であろうとするための苦肉の策であったと同時に、それによって「主体」への欲望を延々と先送り可能にする両義的な効果をもった言説であった、ということです(これだけでは「なんのこっちゃ?」だとは思いますが)。このような出来であっても、ご関心を持って頂けた心良き方がいらっしゃいましたら個別に対応いたしますので、ご連絡頂ければ幸いです。
 
 さて、とにかくしばらく楽にしたいです。今更ですが、一年以上我慢した「ドラクエ8」を凄くやりたいので、誰か貸してください(マジ)。それにバンドもやりたい。あー、ロンドンも行きたい…。

 本年もよろしくどうかお願いします。