『独立独歩』PIE BOOKS、2004年

 デザイナーという職業人にとって「独立」は学生の時からチラホラする言葉である。とりあえず「修行のために就職、10年位で独立」なんて話は少なくない。「TUG BOAT」や「風とロック」、「サムライ」等は目立っている例だが、広告代理店のクリエイティブ部門出身者は抜け出していく人が多いのである(現状については雑誌『創』(2004年5月)のp57の図が参考になる)。『独立独歩』では13通り16名の広告制作者の独立が伺える。管理職(マネージャー)ではなく、制作職(ディレクター/デザイナー)でありつづける事のこだわり。アートディレクションの対象を広げていくこと。仕事の際には、決定権を持っている人と交渉すること。等々。彼らに共通するのは、広告制作という専門的知識を狭い意味での「広告」に限らないで広く社会のなかでどのように活かしていけるのかという意識であることは確認できる。
 かつて広告制作者の掛け声であった「アートディレクション」が、1990年代を境にして転調していることは注目したい。90年代以降の広告制作者が「広告制作者」としてではなく、「クリエイター」とも呼びえてしまうのは、その活動領域がもはや広告を軸にしたメディア横断的制作(1980年代まで)ではなく、メディア横断的制作のひとつに広告が位置づけられたからではないだろうか(1990年代以降)。

独立独歩

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