記憶が呼び出す言語
かつては英語で夢を見るようなこともあったのだが、もはやそれもなくなり、随分と時間が経った。複数の言語で思考するのは楽しいし、選択肢は多いほうが面白いに違いない。問題はこの環境をどうやって作っていくのかで、所謂「ゲストハウス」に住み込むという方法もあるだろう。
どういうわけか今日は英語文献を楽に読むことができた。留学していた頃の写真を見たからかもしれない。google mapで当時の滞在地を再訪していたからかもしれない。mixiにその地のコミュニティがあったからかもしれない。
いやいや、これは単なる「想い出ゲーム」なのではないかと自分に突っ込んでいたのだが、それにしてもこれで当時の英語脳が呼び戻された気がしてならない。記憶を召還することで、言語能力がある程度活性化するのなら、この方法は面白いんじゃないか。
さて、「広告制作者の研究をしている」と言うと、しばしば「作品」の研究と思われるのだが、僕の場合は「活動」としての広告を研究している。「何を創ってきたのか」というよりは「いかに創ってきたのか」に関心があって、広告を創る「私」とは何者なのかが問題なのである。近代的な芸術観でいうところの「作家」=代替不可能な「私」ではなく、大衆芸術の「作り手」=代替可能な「私」がいかに(微妙に)成立してしまっているのかが面白いところで、「作者」と「作り手」の関係を問うことは「近代」の仕組みを問うことにもなるだろう。
この意味で、夏目房之介さん、増田聡さん、Bogartの仕事は、僕にとって大きな支えとなっている。
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