音の耳

 本を読み続けていくと「本の眼」ができるように、音楽を聴き続けていくと「音の耳」ができあがる。「テレビの眼」もしかり。かつては自分の好みに絞っていたけれども、ここ数年はそうでもない。視聴率の高い番組、ベストセラー、オリコンチャートなど、人々に受け入れられているものにはそれなりの理由があるはずだと思い、メディアで流通しているコンテンツを素直に手にするようにしている。
 かつて「エア・チェック」という言葉があったという。新聞のラジオ欄を毎日確認して、今日は何をテープに録音しようかと考えたりするようなことらしい。思えば、中学生時代はこれに相当することをしていた。ラジオの音を自分なりに切り取り、そして聞き直すことが楽しかったのだ。
 当時開局したばかりの「FM NACK FIVE」(79.5Mhz)が一時間単位の番組編成を止めたころになると、「エア・チェック」的に聴くことも止め、番組への投稿をしてパーソナリティに読み上げられることを楽しみにするようになった。当時は「茶々丸」というペンネームで、特に意味はなく、その響きで決めた。ラジオが音を聴くものから話を聴くものになった頃だった。
 ここ数年は、朝も夕方も深夜も「J-wave」(81.3Mhz)。リリーフランキーの「TR2」やみうらじゅん安斎肇の「GOLDEN TIME」を除いては、ラジオは話を聴くものから音を聴くものに戻りつつある。「J-wave」の選曲にも随分と“お約束”があるので、その耳になれてしまった面もあるが、ふと聴いてウェブサイトで曲名を調べて、実際にCDを購入するようなこともある。
 最近はFishmansBonobos。がーっ!と書いていたら朝5時!みたいな時に、少しボリュームを上げて踊ったりもする。Dubは優しい。

宇宙 ベスト・オブ・フィッシュマンズ

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空中 ベスト・オブ・フィッシュマンズ

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electlyric

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