アジアに生きる「私」
韓国前大統領・金大中さんの講演を聞いてきた。民主化運動をめぐる受難、南北首脳会談の実現、ノーベル平和賞の受賞など、20世紀のアジアを象徴する一人なだけに貴重な機会だった。彼を眺めながら、彼がどのような人と出逢ってきたのかと想いを巡らしたりもした。
朝鮮半島と日本を結ぶ海底トンネルの話が出ていたが、「東北アジア」構想の課題は、一つには北朝鮮と韓国との間に、二つには朝鮮半島と隣接国との間に、移動の可能性をどのように設計していくのかがだと思う。そして「台湾」のことも(これを同時に語れない難しさ…)。
アジアの仲間同士で議論をすると、アメリカのプレゼンスの話に収束することが多い(そして、そこにはアメリカの仲間はいない)。アジアの話は、どうしようもなくアメリカとの話になってしまう。このヘンテコ気分を無理に締め付けない柔軟さは持ち続けたい。
会場の質問の一つに「アジアのメディア/メディアのアジア」の話があった。偏狭なナショナリズムを回避し、地域としてのアジアを駆動させて行く方法の一つだと思う。「韓流ブーム」における日本と中国とのズレは、ローカルな配給を前提にしたコンテンツ流通の問題なのだろう。メディアそのもののリージョナルな展開を構想していくことで、コンテンツに還元されていくメディア・ローカリズムを相対化していくことができないだろうか。
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