難波功士『撃ちてし止まむ:太平洋戦争と広告の技術者たち』講談社選書メチエ、1998年

 随分前から手許にあったのにも関わらず読んでいなかった書籍。そうしたものに限って知りたかったことが書いてある。戦中の広告制作者を国策協力者としてラベリングしてしまうのは難しいことではないだろう。しかし、そういってしまうことで隠蔽されてしまうのは彼らの広告への愛である。「商業美術」が「報道美術」へと変更を迫られ、やがて「宣伝美術」へと回帰する彼らは歴史的連続性のなかにある。アートディレクターの歴史的位置を知るには必須の本書、豊富な「参考・引用文献」を見逃してはならない。