「15秒のエンタテイメント CMはこんなに楽しめる」『Invitation』2005年5月、ぴあ

 『SWICTH』(2005年5月号)を探していたら偶然発見。「CMを、映画や音楽と同じように楽しむための特集」という一言が、現在の私たちにとっての広告が何であるのかを意味している。上の議論の延長でいえば、CMもまたその内容=コンテンツ性(→作品化)だけが強調されており、CMそのものの形式=メディア性の面白さが見えにくくなっているということ。ソンタグの「反=解釈」的にいえば、内容と形式の区別が明確ではない「様式」から内容だけを独立させて語ろうとしてしまう欲望といかに付き合っていくのかを地道に考えなくてならない(作家性に回収する方が楽なのだから)。▼とはいえ、メディアにおける作家性の位置が「映画」「MY」「CM」では異なることにも注意したい。映画においては最後の字幕に、MVにおいては曲目と同時に、つまり映像そのものに埋め込まれている。それに比べて、CMは映像に埋め込まれていない。手掛かりはまた別のメディアにあるのだ。作家性と言ってみても、「映画」「MY」におけるメディア完結性と、「CM」におけるメディア横断性とでは区別されなくてはならない。広告とその制作者の関係を改めて考える特集でした。

反解釈 (ちくま学芸文庫)

反解釈 (ちくま学芸文庫)