「特集:公共性を問う」『現代思想』2005年5月、青土社

 昨年末くらいから「はてな」周辺でも盛り上がっていた下北沢の再開発。上のような個人的な思い入れはひとまず置いて、金子賢三「街に生きる」、志田歩「下北沢をめぐるネヴァーエンディング・ストーリー」、木村和穂「単なる道路問題ではない」を読む。まずは、「下北沢という街に住んでいるかどうかには関係なく」(金子賢三)開発計画とどのように付き合っていけるのかを明確にしなくてはならないだろう。「Save the 下北沢」の賭けは、「地元である/ない」という区別を無効にしながら、街をどこまで内在的に想像していけるのかという点にあると思う。また、下北沢の魅力の一つには、「肩書きに頼らず自分の才覚を頼りに世の中を渡っていこうとする人間がたむろしやすい」(志田歩)がある。だからこそ、単純な反対運動に距離をとった「街の人々を繋ぐメディア」が可能なのだろう。方法としての「メディア」はそれが自らの反省の契機ともなりうる点において有効だと思う。要するに、補助54号線は「それがあると国の補助金を受けやすいというだけで、法律的には必要条件ではない」ことを明らかにした木村和穂は、行政文書を批判的に検討し語ることの有効性を示している。他者に耳を澄まし、その論理を丁寧に追っていく忍耐力こそ、介入の一歩になるはずだ。「特集:下北沢は終わらない」『SWITCH』(2005年5月号)も購入してみようかな。