ヘイドン・ホワイト著、海老根宏/原田大介訳『物語と歴史』オンデマンド出版≪リキエスタ≫の会、2001年

 なぜか訳書のないヘイドン・ホワイト。「歴史的知の詩学ランシエールの修正主義」(渡部ちあき訳)『思想』(岩波書店、1996年8月)以来のお楽しみ。「われわれは生まれつき物語る衝動を持ち、現実に起きた事件の様子を述べようとすれば、物語以外の形式はとりえないほどなのだ」というところは、その生得主義的にも聞こえる部分は置いておくとしても、出来事を「物語」という「形式」以外ではなかなか語り得ない難しさを指摘している点においては重要であろう。