姜尚中『在日』講談社、2004年

 「他者の声に耳を澄ますこと」の難しさ。にも関わらず「やさしく在り続けること」。喋ったことがそのまま本になる姜尚中から学んだことは少なくない。自伝と呼ぶには早すぎる本書は母(オモニ)への想いで貫かれている。「書籍」という方法は識字的に差のある母には一方的に見えるかもしれない。それでも書くこと。母(オモニ)について書かれたモノが在るということ。こうした本書は姜にとって母への愛の居場所を探る試みなのだろう。
 「半年後にまた逢おう」が印象的でした。いってらっしゃい。