デザインのコトバ、評価のコトバ

 授業評価調査の結果。担当科目は、文学部芸術学科の視聴覚教育メディア論。学芸員資格科目の一つで、メディア論的な考え方とワークショップのデザインができるようになることが授業の目的。諸事情を鑑み、簡単に公開。

 調査平均点を上回ったのは、(1)出席率、(2)集中度、(3)予習や復習、(5)教員の熱意、(6)授業の進度、(7)教材や板書やプレゼンテーション、(8)新しい知識や考え方を獲得できたか、(11)芸術に関する批評的な視点や理論的思考は深まったか、(12)他の学生に勧めたいか、の九つ。(1)(2)(3)は、学生自身の自己評価。

 調査平均点を下回ったのは、(4)シラバスをどの程度参考にしたか、(9)魅力的な芸術表現に出会うきっかけになったか、(10)芸術作品の歴史的背景に理解を深めたか、の三つ。(4)は、設問の意味が不明確。(9)(10)は、授業の目的にそもそも含まれていないもの。

 自由記述は、六つ。「映像資料は非常に興味深い、ワークショップへの理解は深まった、翌日までのレポートはきつかった」。「論理立てられた説明とシラバスだった」。「毎回パソコンを使った映像資料で理解が深まった」。「興味がある分野ではなかったが、視野が広がった」。「ただ講義を聞くのではなく、何を学んでいくのかが明確で、取り組みやすい」。「映像を映し出す時は全画面にしてくれると見やすい」。

 簡単に言えば、教員や担当科目に対応した評価と、学科や学部に対応した評価が、明確に分かれた。学科に対応した質問は(9)(10)(11)の三つで、担当科目の目的からして、しょうがない点もある。しかし特定の作品を取り上げ、それを評価することをあまり好まない私の傾向を指摘された気持ちもあって、改善は次回の課題。VJとしての評価は、まずまず。

 大学のファカルティ・ディベロップメント(FD)は、義務化が進められている。勿論、教員や担当科目に対応させた評価は、来年度の指針として役に立つ。しかし学科に対応させた評価項目は、その選択肢の選択からして、困難に思う。芸術を名乗る学科であれば、作品との出会い方や距離感を測定するくらいしか、共通の質問が作れないからである。

 それでは学問の複合性を打ち出した新しい学部や学科は、一体どのようにして組織に対応させた評価項目を作るのか。組織をデザインするコトバと、その組織を評価するコトバ。そのバランスの悪さはそもそも解消不可能だからこそ、デザインするコトバは次々と産み出すことができる。しかし評価するコトバが変わらないまま、デザインするコトバだけが変わっても、結局は揶揄されるだけである。「本気」ならば、それを評価する説得的なコトバも同時に示すしかないと思う。


 沖縄から戻って南国系の音へ行くかと思いきや、Zazen boysの「Asobi」(http://www.youtube.com/watch?v=HDPiSKTJTXQ)のベース・ラインにどっぷりはまる。そして、Super Butter Dogの「ゆっくりまわっていくようだ」のリズムにも。『デトロイト・メタル・シティ』で泣いて笑って、『グーグーだって猫である』を観た直後に中央線に乗ったこの頃。

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