「特集:学力崩壊」『中央公論』2005年4月号、中央公論新社

 学力論と若者論との交叉が目立つところで、学力では捉えきれない「コミュニケーション能力」(原田曜平)や「対人能力」(本田由紀)を指摘する論考は興味深い。たとえば「人間力」という言葉は、学力との対比で語られることも少なくないし、これが反=学力を正当化している面がないともいえなくはない。「学力/人間力」という構図は、これまでに何度も呼び出されてきた「知性/感性」という二分法を思わせる。僕の関心は、本田由紀の分析部分よりは、提案部分に近い。普通高校職業高校との間の「格差」を考えていくべきだと思う。それから、一般大学と専門学校の「格差」も。専門職万歳ではないが、専門職への道を「進学へのあきらめ」からスタートさせないためにも。