そのトキメキに、耳を澄ます。

 セルビデオを買うことは殆どなかったのに、セルDVDはそうでもない。理由は3つくらいある。1つには、値段が安いこと。ビデオは10000円を超えてもおかしくなかったが、DVDは3000円前後である。2つには、サイズがコンパクトなこと。ビデオに比べて、DVDは保存に場所をとらない。3つには、いろんなところで観られること。ビデオ鑑賞にはテレビが必要だったのだが、DVD観賞にはノートパソコンがあれば十分であり、移動先でも自分の都合に合わせられる。そんな理由から、僕はDVDを購入するようになった。といっても、いわゆる「映画」ではなく、ミュージッククリップやテレビ放送を再編集したもの等が殆どだ。そのほうが、個人的にはいろいろな記憶を呼び出せる気もする。
 ところで、クリエイターについてのDVDも多くなってきた。こうした動きはCD-romの頃からであり、いわゆる「作品集」として流通してきたものの延長ともいえるだろう。とはいえ、僕にとって興味深いのは、クリエイターが何を作ったのかをDVDで発表するものではなく、クリエイターがいかに作ろうとしているのかを語るDVDである。クリエイターは、作品だけではない。その言葉にだって、面白さと難しさとが同時に織り込まれている。なにかを感じてしまっているそのトキメキみたいなものに、ちょっと耳を澄ましてみよう。