藤原帰一『平和のリアリズム』岩波書店、2004年

 姜尚中さんは僕等の世代を「Generation Between Wars」と呼んだ。冷戦終結から湾岸戦争イラク戦争にかけての間に青春期を過ごした若者のことである。僕たちはなんとなく「時代の変化のなかにいる」と感じているにもかかわらず、「それが何から何への変化なのか」がよくわからないことがほとんどである。そうした状況において時事問題にコメントすることに慎重にならざるを得ないのは、発言の“立ち位置”を設定・説明しなくてはならないという要請からなかなか逃れられないからだろう。「平和を祈るだけでも戦争に頼るだけでも」答えることのできない問題への矛盾した立場表明が「平和のリアリズム」なのであるとのこと。