正義の味方じゃない。

oxyfunk2004-05-25

 「レンジャー」ものの季節である。色別の性格は「お約束」であるが、もはやそれらが変更できなくなってしまった様子も観ててツラい。「GO&SEE」(朝日新聞2004年5月24日夕刊)では、木工教室に現れたコマレンジャーが写真付きで紹介されている。

 東京都狛江市内で開かれた「親子木工教室」に突然、異形の男たちが乗り込んだ。「悪のバカラス軍団」を名乗り、演歌調のテーマ曲を歌いながら握手を強要。おびえて泣く子、噴き出すママたち。
 続いて、軽快な音楽をバックにカラフルなヒーローたちが登場した。悪役と戦う気配もなくダンスを踊り、「多摩川戦隊コマレンジャー」とポーズを決めた。

 「握手を強要」って困ったなー。これじゃぁ、「ハラスメント」じゃないですか(笑)。なにも木工教室じゃなくても…と思いつつ、やっぱり気になるのは「ヒーローたち」。つんつる頭にサングラス。どうみても不思議な姿でしかない「地域限定ヒーロー」の活躍はここに限らないようだ。「地域戦隊カッセイカマン」(長野県下條村)、「沼南戦隊デカレンジャー」(千葉県沼南町)、「離島戦隊タネガシマン」(鹿児島研中種子町)というように。
 コマレンジャーが「悪役と戦う気配もなくダンス」するあたりは、“あんた何しに来たの?”であるが、彼らの使命は「日本で3番目に狭い市、狛江を元気にすること」である。そこに“勧善懲悪”や“正義”はもはや、ない。「悪役」は追いやられる場所がないにも関わらず出演を要請され、ヒーローは突然現れては木工、なのである。トホホといえばトホホ。
 こうした増加は、彼らが「地域の語り手」としての位置を獲得しつつあることを意味しているのでは思ってみたりもする。自治体主催のイベントPRのために沢山のキャラクターが創られたのを思い出してみよう。キャラからレンジャーへ。なんで今時?と思うかもしれないが、僕は「何者が地域を語ってきているのか」にもっと注目してもよいと思う。河原の看板に描かれている河童に「あぶない!」などと吹きだしがついている面白さと奇妙さは、こうしたことと関係させて考えられないものか。
 
※参考
多摩川戦隊コマレンジャー
http://www.komae.info/ranger/
みうらじゅんゆるキャラショー(視聴有)
http://www.ponycanyon.co.jp/wtne/dvd/030820miur.html