キオスクと戦争の記憶

oxyfunk2004-02-19

 目立たないわけがない。キオスクは乗降客の視線が集中する場だ。そこで買って貰うことはあらかじめ断念し、ただただ人の眼に入ることが目的となっているような商品がある。「海軍さんのカレー」(調味商事)だ。そのちょっと時代錯誤なネーミングとデザインは「誰がキオスクでレトルトカレーを買うのか」という素朴な疑問をかき消してしまうほど圧倒的な存在感をもっている。
 「帝国」の亡霊をキオスクで取り扱うなというんじゃない。横須賀の名物として売りたい気持ちは少なくないだろう。それでもなぜ横須賀からは遠く離れ、電車一本ではいけないローカル駅のキオスクにそれがあるのか。地元の名物すら置かないキオスクが、遠く横須賀の名物を売っているという不思議さに「?」と思わずにはいられない。さらに奇妙なのは、キオスクにおけるその商品の置かれ方や宣伝のされ方だ。うまく描写できないが、「夕刊フジ」の日替わり見出しの上に大きなPOPが貼られていたりしてまたまた「?」。
 ま、いいか、そんなに細かいことは、とも言いたいところである。それでも「海軍さんのカレー」について「旨い/不味い」とか「三浦牛はどうなんだ」とかいった無難なコメントで締めるのではなく、それがキオスクの目立つところに置かれていることの<社会性>を指摘してみたいというこれこそ「ズレているかもしれない」コメント欲望は、僕の「8年遅れの<教養>」として甘受してもらえると嬉しい・・・。素直に言おう。最初から下記の一文を書きたかっただけなのである。「海軍さんのカレー」は乗降客の視線が集中する場に寄生するささやかな「戦争の記憶」なのかもしれない、と。(△)
※参考
・「海軍さんのカレー」(調味商事) →勿論コンビニとかでも取り扱い有。キオスク目撃説も多い。
http://choumi.cside.com/