KoSAC『発表会文化論』の発表会

第12回KoSAC『発表会文化論』の発表会

 2015年度初めてのKoSACのお知らせです。今回は、KoSACの共同運営者の一人である東京経済大学の光岡が寄稿した『発表会文化論―アマチュアの表現活動を問う』(青弓社、2015年)の書評会をトランスアジアポピュラー音楽研究会、および東京芸術大学の毛利研究室との共催で開催します。詳細は以下の通りですが、参加頂ける方は、KoSACのいつものアドレスではなく、書評会用の(e-mail:happyoukaiculture@gmail.com)へご連絡頂ければと思います。休日開催ですので、普段平日は参加するのが難しいという方も奮ってご参加下さい。

日時:2015年5月24日(日)15:00〜18:00
会場:東京芸術大学 千住キャンパス 第一講義室(東京都足立区千住1-25-1)
   (URL: http://www.geidai.ac.jp/access/senju
参加費:無料
申し込み:不要(ただし、当日のレジュメの準備などがあるため、事前に参加の旨をご一報いただけると助かります。事前の連絡先:happyoukaiculture@gmail.com

開催趣旨:
 『発表会文化論』の出版にあたり、書評会を開催することになりました。サブタイトルにもあるように、同書はアマチュアの表現活動について、さまざまな角度から議論を交わした本です。もちろん、あらゆる表現活動を網羅することは不可能で、当然のことながら同書で扱いきれなかった分野もあります。とはいえ、たとえ分野は異なっても、アマチュアの表現活動を取り巻く状況には共通する点が多々存在します。本書は、これまで、しばしば見過ごされてきた(あるいは自明のものとされていた)アマチュア文化の実践領域において、新しい分析の枠組みを提供していると考えています。今回の書評会は、本書で議論された「発表会」という形式を意識しつつ、ここで提示された新しい問題構成とその分析について、さまざまな研究領域、さまざまな世代の研究者を交え議論をしようという試みです。
  まず、同書で取り上げることができなかった分野を専門にしている研究者や同書に興味を抱いた大学院生がコメントを行ないます。そして、それぞれのコメントを受けて、執筆者には報告ごとに応答してもらいます。そのうえで、会場のみなさんとディスカッションの時間を設けたいと思います。
 この書評会はどなたでもご参加いただけます。事前に『発表会文化論』をご一読いただけると幸いですが、「予備知識」なしでの参加も歓迎します。ぜひご参加下さい。

登壇者:

タイムテーブル:
15:00〜15:10 書評会の主旨説明(毛利)、『発表会文化論』概要説明(宮入)
15:10〜16:10 報告①(吉澤、飯田、浅野)+執筆者の応答
16:10〜16:20 休憩
16:20〜17:20 報告②(高橋、調、今井)+執筆者の応答
17:20〜17:50 フロアとのディスカッション

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主催:トランスアジアポピュラー音楽研究会+東京芸術大学 毛利嘉孝研究室
共催:KoSAC(Kokubunji Society for Arts and Culture)
問い合わせ:mouri@ms.geidai.ac.jp(毛利)

KoSAC「卒論修論フォーラム Vol.2」

第11回KoSAC「卒論修論フォーラム Vol.2」のお知らせ

 「KoSAC(Kokubunji Society for Arts and Culture、通称コサック)」では、大学の街でもある「国分寺」を拠点に「社会」「芸術」「文化」などをテーマにしながら、毎回ゲストをお呼びしてお話を伺う機会を設けております。

 その第11回として、「卒論修論フォーラム Vol.2」を2015年3月21日(土・祝)に開催します。これは卒業論文修士論文を書き終えた方がその内容を発表し、それに対して評者がコメントをする合評セッションです。研究の精度をより高めるというよりも、より多くの人に話題を共有してもらうことが目的なので、会場の参加者にも議論を開く形で行います。今回のプログラムは以下の通りで、一つ目はドイツ美術史をボードゲームで学ぶ卒業制作の報告と試遊、二つ目は芸術/非芸術の区別を社会学的に検討した修士論文の報告と議論になります。

14:00  はじめに:加島卓(武蔵野美術大学ほか)
14:10-15:50 「ヴォルプスヴェーデ村と4人の芸術家たち:1894-1937」
報告者:山中麻未(武蔵野美術大学芸術文化学科) 評者:山本貴光(哲学の劇場)
16:00-17:50 「人々の実践としての芸術/非芸術の区別:法・倫理・批評領域に焦点を当てて」
報告者:岡沢亮(東京大学大学院学際情報学府) 評者:森功次(日本学術振興会)+松永伸司(東京藝術大学
18:00 おわりに:光岡寿郎(東京経済大学
18:30 懇親会(国分寺駅周辺)

 なお、今回の報告者につきましては以下のサイトをご確認下さい。
・山中麻未「ヴォルプスヴェーデ村と4人の芸術家たち:1894-1937」
http://asamiy024.tumblr.com/post/110263428782/4-1894-1937
・岡沢亮「人々の実践としての芸術/非芸術の区別:法・倫理・批評領域に焦点を当てて」
http://ryookazawa.hatenablog.com/entry/2015/02/18/220313

当日のレポートと報告レジュメは、以下の通りです。
・山中麻未「3月21日(土)KoSAC修論卒論フォーラムのご報告」
http://asamiy024.tumblr.com/post/114494838157/3-21-kosac
森功次+松永伸司「第11回KoSAC「卒論修論フォーラム Vol.2」の資料公開」
http://d.hatena.ne.jp/conchucame/20150322/p1

 KoSACでは大学院生や研究者に限らず、学生から社会人までどなたでもご参加頂けます。ご所属や年齢を気にせず、テーマにご関心がありましたら奮ってご参加下さい。また、今後KoSACで取り上げたい企画の提案も歓迎いたします。また最後に、今回は会場の都合により、参加を希望される方は事前にメールでのお申し込みをお願いしております

■日時:2015年3月21日(土・祝) 14:00〜18:00
■場所:東京経済大学国分寺キャンパス 第四研究センター4階4422研究集会室
 国分寺キャンパス正門を入って直進。突き当たり右側にある図書館の4階です。入口は図書館とは別になっていますので、図書館を正面にして左側に「第四研究センター」と書いてある入口からエレベーターで4階に上がって下さい。上がると4階に地図があります。そこで4422研究室の位置をご確認下さい。尚、当日は祝日のため、14時以降、第四研究センターの入口が施錠される場合がございます。施錠されている場合には、当日入口の見える位置に呼び出しの方法を掲示しておきますので、ご参照のうえご連絡下さい。参加者の皆さまにはご迷惑をおかけしますが、ご協力頂ければ幸いです。

構内の地図は以下のURLをご参考になさって下さい。
(URL: http://www.tku.ac.jp/campus/institution/kokubunji/

■報告者:山中麻未(武蔵野美術大学)、岡沢亮(東京大学大学院)
■評者:山本貴光(哲学の劇場)、森功次(日本学術振興会)+松永伸司(東京藝術大学
■司会:加島卓(武蔵野美術大学ほか)+光岡寿郎(東京経済大学

■参加方法 ※会場の都合で事前予約をお願いしております。
(1)お名前(2)ご所属(3)自己紹介(4)懇親会への参加/不参加を140字程度で joinkosac(at)gmail.com (atを@マークに変えて下さい。)までお送り下さい。
■問い合わせ
joinkosac(at)gmail.com (atを@マークに変えて下さい。)
■URL
http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/
http://toshiromitsuoka.com/

KoSAC「アート×キャリア×ネットワーキング Vol.3」

第10回KoSAC「アート×キャリア×ネットワーキング Vol.3」のお知らせ

 「KoSAC(Kokubunji Society for Arts and Culture、略称コサック)」では、国分寺を中心に「芸術」「文化」「社会」をテーマとしながら、毎回ゲストを招いて一緒に議論をする会を開催しています。

 第10回のテーマは、KoSACでも中心的なテーマの一つになりつつある、アートに関わるキャリア形成です。私たちが経験するアート「業界」は、数多くの職能を持った人々によって支えられていますが、彼/彼女らの仕事やそこから生まれる人的なネットワークは、これまで具体的に語られる機会はほとんどありませんでした。そこで今回は、東京文化発信プロジェクト室プログラムオフィサーの佐藤李青さんをゲストに迎えて、今まで手がけてこられたプロジェクトや、そこから拡がったネットワークについて、具体的なエピソードを交えてご紹介頂こうと考えています。

 佐藤さんは、大学院在籍時から展覧会やアートプロジェクトに携わるかたわら、一方では日本の近現代の美術運動を研究の対象とされてきました。東京都小金井市文化政策の一環である「小金井アートフル・アクション!」の立ち上げにも参画し、実行委員会事務局長を務められます。その後2011年より現職に就かれ、現在でも数多くの地域型のアートプロジェクトのマネージメントに関わっておられます。

 1990年代後半以降、「アートマネージメント」をうたう学部、大学院の新設が増加した一方で、その出口問題は依然として解決されていない現状を考えれば、学生時代からどのようにアクションし、どのような人々と出会ったことで現在の道が開けたのかを伺える今回は、貴重な機会になるのではないでしょうか。ですので、これから仕事としてアートに携わりたい学生、フリーランスの方も、日本のアートシーンを対象とした研究を進めたいと考えている方も是非ご参加頂ければと願っています。

 なお、今回のゲスト佐藤さんの主な経歴は以下のテキストをご覧下さい。
・吉澤弥生『続々・若い芸術家たちの労働』2014年3月、28-32頁
https://drive.google.com/file/d/0BytBPnz0rcUUai1qbVh5cXhWZVE/view?pli=1
(2015年1月22日まで限定でウェブ公開)

■日時:2015年1月22日(木) 18:30〜20:30(今回は木曜日開催です!)
■場所:東京経済大学6号館7階中会議室1
 (http://www.tku.ac.jp/campus/institution/kokubunji/
 正門から直進して突き当り左手にある青い建物が6号館です。エレベーターを使って7階に上がって下さい。
■話題提供者:佐藤李青さん(東京文化発信プロジェクト室)
■司会:加島卓(武蔵野美術大学ほか)、光岡寿郎(東京経済大学
■参加方法:(1)お名前、(2)ご所属、(3)自己紹介を140字程度でjoinkosac(at)gmail.com(atを@マークに変えて下さい)までお送り下さい。当日参加も歓迎いたします。
■問い合わせ
e-mail: joinkosac(at)gmail.com(atを@マークに変えて下さい)
■URL
http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/
http://toshiromitsuoka.com/

2014年:回顧と展望

 30代もあと一年。20代の頃とは好みもすっかり変わり、昔の自分にはきっと笑われるに違いない。20代までは自分の好きなものばかりを見ていたのだが、30代になって好き嫌いをちょっとだけ宙吊りにして転がす楽しみを覚えた。思い込みから少しだけ自由になることで、今までよりも丁寧に考えられるようにはなったと思う。

 振り返ってみれば、最初の論文は2005年の「<感性>の誕生:反−構図としてのレイアウト」(季刊『d/SIGN』No.11、太田出版)。大学院の修士三年目でなかなか苦しい時だったけど、幸いにも多くの読者に恵まれ、これから自分が何をどのように書いていけばよいのかを少し知れた思い出の論文だった。

 あれから10年。2014年は、何よりも『〈広告制作者〉の歴史社会学:近代日本における個人と組織のゆらぎ』(せりか書房、2014年、http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/20140305)を刊行できたことが嬉しい。500頁弱で6000円もするのだが、インターネットでは「鈍器」や「ブロック」と呼ばれ、どういうわけか「#かしまさんおすし」(byきゃさ)というハッシュタグへと展開し、「おすし代」という怪しい郵便物も届いた(笑)。おかげさまで、素晴らしい書評も出た。開沼博さん(読売新聞)、佐藤健二さん(週刊読書人)、南後由和さん(図書新聞)、高野光平さん(文化社会学研究会)、どうもありがとうございました。

 単著と同時進行だったのが、「特集:堤清二辻井喬」『ユリイカ』(2014年2月号、青土社)に書いた「「社会」を語る文体とセゾンの広告:「作者の死」と糸井重里の居場所」(http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/20140221)。「おいしい生活。」や「不思議、大好き。」に軽く言及することで1980年代の日本を説明しようとする「広告=社会の鏡」仮説がどうしても受け入れられず、その苛立ちが最終的には「社会学にとって「広告」とは何か?」というテーマに至った論文だった。いやしかし、流通範囲の割には読者がちっとも見えてこないのが『ユリイカ』なのだとも知りました(笑)。

 それから、どういうわけか『文學界』(2014年4月号、文藝春秋社)に「お菓子のデザイン」(http://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/bungakukai1404.htm)というエッセイを書く機会を頂いた。論文はある程度の読者を想定して書くので、文体を定めやすい。しかしエッセイはそうもいかずで、「編集者に気に入ってもらえるかどうか」が本当に重要だということを知った。ヤクルト、とんがりコーン、森永マリー、そしてルマンドについて書いたのだが、何度読んでも不器用な仕上がり。純文学をやっていた母は、単著刊行よりもこちらを喜んでいたな(笑)。

 研究報告は「美人画とポスターの概念分析」(大正イマジュリィ学会)と「『あまちゃん』のデザインと「稚拙さ」の居場所」(露光研究発表会)と「アイドルとグラフィックデザイン:『あまちゃん』のテレビデザインと「残念」の居場所」(文化社会学研究会)の三つ。『あまちゃん』関連では岩手県久慈市のロケ地巡りまでして、1980年代ノスタルジーについていろんなアイデアを得たのだが、もう少し熟成させたい感じでもある。

 研究会関連だと、2013年8月から光岡寿郎さん(東京経済大学)と始めたKoSACの回数を積み重ねた一年だった。KoSACとして声を掛けられるような機会も頂くようになり(露光研究発表会やCAMPほか)、活動の幅が広がるようにもなった。女子高生がTwitter経由でKoSACにやってきたりで、これからの進路指導や大学のことも考えさせられたんだっけな。

 本務校の東海大学は5年目。専任講師から准教授になり業務は増えたが、文学部に若手の同僚が増え始めたのが嬉しい。教育では「メディア社会学」を新しく開講して、一年生向けに社会学とメディア論の基礎を教えられるようになったのはよかった。中央大学は2年目。ようやく調子をつかみ始め、受講生と話す機会も増えるようになった。武蔵野美術大学はもう7年目。卒業生の活躍を毎年のように聞くようになったのだが、インターネットでしか活躍しない人も増えたね(笑)。

 まぁめっちゃ悔しいこともいくつかあったけれども、来年も頑張ります。メディア論の教科書でインターネット広告のことを書いたり、現代社会論の教科書で1990年代のことをいくつか書いています。出版の企画をいくつか頂いているので、そろそろ具体案を作ってみようかとも思います。新しい研究テーマに移行しつつ、査読論文も書いていきたい。あとは、みんなが大好きなあの町田でイベントを始めようとも思っております。

 それでは、よいお年を。来年もどうぞよろしくお願いします。

KoSAC「画像の問題系 演算性の美学」合評会

第9回KoSAC「gnck「画像の問題系 演算性の美学」合評会」のお知らせ

 「KoSAC(Kokubunji Society for Arts and Culture、通称コサック)」では、大学の街でもある「国分寺」を拠点に「社会」「芸術」「文化」などをテーマにしながら、毎回ゲストをお呼びしてお話を伺う機会を設けております。

 その第9回目として、雑誌『美術手帖』(美術出版社)の第15回芸術評論で第1席を受賞したgnckさんをお招きし、「画像の問題系 演算性の美学」の合評会を開催します。また評者として、ロバート・ステッカー『分析美学入門』(勁草書房、2013年)の訳者でもある森功次さん(日本学術振興会特別研究員)をお招きします。今回はお二人をお招きして、日本における美術批評の展開と美学芸術学のこれまでの議論とがどのような関係を持っているのか(または、そもそも別のことなのか)といった点などを議論していく予定です。みなさん、奮ってご参加下さい。

 gnckさんの専門はキャラ・画像・インターネット研究で、2011年3月に武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科を卒業されております。これまで関わられた企画展としては「JNT×梅ラボ 解体されるキャラ」(2009年)、主な批評には「ビットマップとインターフェイスの美学」(『ニコちく ニコニコ建築の幻像学』2013年)、「二艘木洋行個展 プロミスフレンズニアレストネイバーランド前」(『美術手帖』2014年12月号)などがあります。

 また森功次さんの専門は哲学・美学で、『分析美学入門』の翻訳の他にも、「ケンダル・ウォルトンのフィクション論における情動の問題――Walton, Fiction, Emotion」(『美学芸術学研究』29号、2010年)、「作品の倫理性が芸術的価値にもたらす影響:不完全な倫理主義を目指して」(『批評理論と社会理論〈1〉』叢書アレテイア13号、御茶の水書房、2011年)、「芸術は道徳に寄与するのか――中期サルトルにおける芸術論と道徳論との関係」(『サルトル読本』法政大学出版局、2015年1月刊行予定)などがあります。

 なお、当日までに以下のサイトを読んで来られることをお勧めします。それから今回は会場の都合により、参加を希望される方は、事前にメールでのお申し込みをお願いしております。

・gnck「画像の問題系 演算性の美学」
http://www.bijutsu.co.jp/bt/GH15_kekka.html
http://togetter.com/li/720485
http://d.hatena.ne.jp/kno_apm_kgd/
http://hidari-zingaro.jp/2014/10/event_report_tmoc/
・ロバート・ステッカー(森功次 訳)『分析美学入門』
https://sites.google.com/site/bunsekibigakunyumon/home
http://researchmap.jp/morinorihide/
・研究会当日の配付資料(森功次)
http://researchmap.jp/mulpnxrmr-1833297/#_1833297

■日時:2014年12月20日(土)16:00〜18:00
■場所:東京経済大学 第四研究センター4階4422研究集会室
 国分寺キャンパス正門を入って直進。突き当たり右側にある図書館の4階です。入口は図書館とは別になっていますので、図書館を正面にして左側に「第四研究センター」と書いてある入口からエレベーターで4階に上がって下さい。上がると4階に地図があります。そこで4422研究室の位置をご確認下さい。構内の地図は以下のURLをご参考になさって下さい。
(URL: http://www.tku.ac.jp/campus/institution/kokubunji/
■話題提供者:gnck
■評者:森功次(日本学術振興会特別研究員)
■司会:加島卓(武蔵野美術大学ほか)、光岡寿郎(東京経済大学

■参加方法(会場の都合で、今回は事前に参加登録をお願いします)
(1)お名前(2)ご所属(3)自己紹介を140字程度で joinkosac@gmail.com までお送り下さい。
■問い合わせ
joinkosac(at)gmail.com (atを@マークに変えて下さい。)
■URL
http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/
http://toshiromitsuoka.com/

美術手帖 2014年 10月号

美術手帖 2014年 10月号

分析美学入門

分析美学入門

KoSAC「デザイン×キャリア×ネットワーキング」

第8回KoSAC「デザイン×キャリア×ネットワーキング」のお知らせ

 「KoSAC(Kokubunji Society for Arts and Culture、通称コサック)」では、大学の街でもある「国分寺」を拠点に「社会」「芸術」「文化」などをテーマにしながら、毎回ゲストをお呼びしてお話を伺う機会を設けております。

 第8回のテーマはデザインに関わるキャリア形成です。20世紀後半になると、「デザイン」という言葉は幅広い領域で使われ、その意味も拡がっていきました。また20世紀末からはコンピュータが普及し始め、「デザイナー」として働ける機会も増えました。こうしたなか、デザインに関するキャリア形成も多様化し(もしくは単純なものではなくなり)、プロジェクトやコラボレーションを通じて行われるようにもなりました。そこで今回は、「ラボラトリーズ」の代表取締役で、グラフィック・デザイナー/アートディレクターの加藤賢策さんをお招きして、今までに手がけてこられたお仕事や、現在に至るまでの働き方の変遷、そうしたなかで培ってきたネットワークなどについて、具体的なエピソードを交えてご紹介頂こうと考えています。

 加藤さんは武蔵野美術大学大学院視覚伝達デザインコース修了後、視覚デザイン学科研究室の助手を経て、2006年に「東京ピストル」を設立。2013年7月には株式会社「ラボラトリーズ」を設立し、グラフィックデザイン、ブックデザイン、WEBデザイン、サインデザインなどを手がけています。主な領域はアート・建築・思想で、最近では『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1』(ゲンロン、2013年)や『mau leaf』(武蔵野美術大学、2012年〜)といったお仕事も手がけております。今回はデザインの最新動向というよりも、デザイナーとして様々な人とどのようにお仕事されているのかという話が中心になるかと思います。

 これから仕事としてデザインに携わりたい方、また既にデザイナーとして働かれていたり、デザイナーと一緒に仕事をする機会のある方、さらには日本のデザインについて研究をされたいと考えている方にとっても貴重な話が伺える機会になると思いますので、奮ってご参加下さい。

 なお、今回のゲスト加藤さんの代表的なお仕事は以下をご覧下さい。
http://labor-atories.com/

■日時:2014年11月5日(水)18:00〜20:00
■場所:武蔵野美術大学鷹の台キャンパス9号館5階 515教室
http://www.musabi.ac.jp/access/map/
※西武国分寺線「鷹の台」駅より徒歩で約20分/JR中央線国分寺」駅北口よりバスで約20分
http://www.musabi.ac.jp/access/
■話題提供者:加藤賢策(ラボラトリーズ)
■司会:加島卓(武蔵野美術大学ほか)、光岡寿郎(東京経済大学
※今回は武蔵野美術大学の科目「メディアと情報II」の特別講義との共催になります。

■参加方法
(1)お名前(2)ご所属(3)自己紹介を140字程度で joinkosac@gmail.com までお送り下さい。当日参加も歓迎いたします。
■問い合わせ
joinkosac(at)gmail.com (atを@マークに変えて下さい。)
■URL
http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/
http://toshiromitsuoka.com/

gnck「画像の問題系 演算性の美学」を読んで

 はじめてお会いしたのは、大学2年生の時だったのかしら。当時は武蔵野美術大学芸術文化学科での非常勤講師を始めたばかりで、右も左もよくわからなかった。こんな感じでいいのかな〜と思いながら授業を終えた後に、「お勧めの読書リストを作ってもらえないでしょうか?」と声をかけられたのである。随分と熱心な学生がいるものだと感心し、「デザインに関する本が、デザインをより良く理解させてくれるとは限らない」と名付けたいい加減な読書リストを差し上げたのはよく覚えている(笑)。

 在学中には「JNTx梅ラボ 解体されるキャラ展」展(2009年、武蔵野美術大学apmg、http://9artz.jp/h/662/jnt_umelabo_gnck/)という、現在は「カオス*ラウンジ」で知られる梅沢和木http://umelabo.info/index.html)と現在は「カイカイキキ」に所属しているJNTHED(http://meiblog.fullmecha.com/base/profile)の二人展を企画・運営していた。所謂「美術史」が書いてこなかったデジタル画像の物質的な固有性に強い関心があったようで、『創造の欲望をめぐって―キャラ・画像・インターネット―』という卒業論文を書き、学科賞も受賞していた。

 その方による論文、gnck「画像の問題系 演算性の美学」が『美術手帖』による「第15回芸術評論募集」で第一席を受賞した(http://www.bijutsu.co.jp/bt/GH15_kekka.html)。簡単に言えば、描線が像を結ぶように、ピクセルが像を結んでしまう「奇跡」を、ビットマップとベクター、ドットとジャギーグリッチとインターフェースが観察される作品から説明することを通じて「画像の演算性の美学」と呼んでみたい!という批評である。学生時代から考えてきたことを、なるべく誰にでもわかるようにと丁寧に書かれている。

 メディア論的に読んでみると、「画像」というメディアの物質性を具体的に記述しようとしている点で興味深かった。というのも、そういう記述がもっともらしくなるのは、「低解像度、高圧縮率、データの破損」といった「メディアとして高級なものではなく、むしろ貧しいもの」を扱った時であり、その時にこそ「メディアの原理的な特性」が観察されるからである。「メディアは高度化すればするほど、透明な存在になっていく」とも書かれていたが、デジタル画像のそれらしさは質の高さにおいてではなく、むしろ質が低い状態においてこそ、理解しやすいものになっている。分かりやすく言えば、YouTube動画の動きがギザギザな時にこそ、「インターネットらしいねぇ」とその固有性を楽しめるのだ。

 他方で、「ジャギーは汚れではなく結晶なのだ」として「画像と演算性の美学」は成立するという行論は、美学ありきの書き方なんだろうなとも思った。例えば、社会学なら「ジャギーは汚れである、にもかかわらず、汚れに魅了されるのはいかにしてか?」と問いを立て、「ジャギーの汚染学」の成立条件を記述する方向を探る。gnckは、「汚れ」の水準で理解され、美術史に書かれてこなかった画像を「救済」するために「結晶」へと昇華させた上で、「画像と演算性の美学」に着地させているように思うのだが、社会学なら私たちはそれをいかにして「汚れ」と理解しているのかを記述することに徹すると思う。

 いや、もちろん美学と社会学は同じ対象においても複数の記述が成立可能であることをそれぞれに示せばいいんじゃね?と思うのだが、その両者を比較するなかで、どの辺で価値を消すことが出来なくなるのかは興味深いところである。画像における「ノイズ」や「汚れ」は正常な状態に対する異常な状態として記述可能だと思うけれども、「ローファイ」になると、そのように理解したい人の歴史観なしでは記述できなそうにも思う。テクノロジーとして何が達成されているのかということと、私たちがいかなる概念を使って画像を見ているのかということは、それぞれに探求可能であるはずだ。

 なお、授賞式で「ネットとかよくわからないオジさんたちに向けて書かれた解説」(https://twitter.com/kaichoo/status/513986394960564224)というスピーチがあって、そこそこウケた(笑)。受賞者をもっと素直に褒めてあげればいいのになぁと思いつつ、審査員への違和感のほうが強かったのかもしれない。これに対して、gnckは「別に「オジサン」に向けて書いたのではなくて、50年後、100年後もいるはずである初学者でも通じるように書いたつもりだ」(https://twitter.com/gnck/status/514221671452909568)という。まぁリアルタイムで進行する面白さにいち早く反応することと、リアルタイムでなくとも長く読まれるものを書いていくことは区別可能だし、そのほうがシーンも盛り上がるだろうというところか。私としては、選考委員において「どうでもよかったことが、どうでもよくなくなった」感があっただけでも、まずは成功と言えばよいと思っている。

 よい文章というのは、同じ題材を見て、自分だったらこういう書き方をしてみたいな〜と思わせてくれるものである。その意味で、gnck「画像の問題系 演算性の美学」は後続の書き手に文体の選択肢を与えたように思う。勿論、この批評以前にも似たような試みはあったのだろう。しかし、どこの誰が一番最初なのかという人称性の水準ではなく、何がどのように述べられたのかという個別記述の水準で楽しめるようになれば、美術批評はまだまだ面白くなるのではないか。誰にでも書けるかもしれない文章をたまたまgnckが書き、またそれが「第15回芸術評論募集」で第一席を受賞したことが、社会学的に考えて面白いところである(笑)。

▼gnck「画像の問題系 演算性の美学」(「第15回芸術評論募集」入選作発表、PDFで公開中)
http://www.bijutsu.co.jp/bt/GH15_kekka.html

▼「gnck「画像の問題系 演算性の美学」(美術手帖第15回芸術評論募集 第一席入選論文)を読んで」
http://togetter.com/li/720485

▼参考画像(図5、図10はなし)
・【図1】都築潤「New Insector」(2001年)
http://neweidos.cc/
・【図2】せいまんぬ「自負まんぬ」(2010年)
http://touch.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=9308538
・【図3】中ザワヒデキポチョムキン」 (1990年)
http://nakazawahideki.archive661.com/20120212_01/index.html
・【図4】二艘木洋行「敦己、グレープフルーツもちょうだい」(2014年)
http://nisougi.tumblr.com/image/80850072869
・【図6】トーマス・ルフjpeg msh01」(2004年)
http://38.media.tumblr.com/5e0b8cd9f5ed82e92fe7adee22415bc2/tumblr_n32jbdtdnO1rf1l2eo1_1280.jpg
・【図7】渡邉朋也「画像のプロパティ」(2014年)
http://watanabetomoya.com/work/display-properties/
・【図8】ucnv「Tab. Glitch」(2013年)
http://www.ntticc.or.jp/Archive/2013/Openspace2013/Works/Tab_Glitch_j.html
・【図9】ヌケメ「グリッチ刺繍」(2012年)
http://nukeme.nu/post/28134782371/make-japan-official-glitch-embroidery-t-shirts
・【図11】エドゥアール・マネ「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」(1872年)
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fd/Edouard_Manet_040.jpg
・【図12】JNTHED「Deform」(2006年)
http://retype.fullmecha.com/post/55184249467/deform-by-jnthed-2004

美術手帖 2014年 10月号

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